市場連動プランの見直しで電力コストの変動リスクを回避
ヨネックスの「環境ビジョン2050」達成をともに目指すReivalue × 長瀬産業
Aug 5, 2026
(ヨネックス株式会社 環境対策推進室長 千葉慎一郎氏(中)、Reivalue株式会社 代表取締役 堀口公希氏(左)、長瀬産業株式会社 未来共創室開発三課 課統括 深見雅彦(右) 筆者撮影)
ヨネックスは、「ブルーの空とグリーンの大地、そしてスポーツの未来のために」という「ヨネックス環境ビジョン2050」を掲げ、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルを目指しています。エネルギー価格の先行きが見通しにくい状況の中、長瀬産業とReivalueの提案を通じて、電力コストの変動抑制と温室効果ガス(GHG)削減の両立を進めています。ヨネックス 環境対策推進室長 千葉慎一郎氏、Reivalue 代表取締役 堀口公希氏、長瀬産業 未来共創室開発三課 課統括 深見雅彦の対談をお届けします。
【Interviewed with】
ヨネックス株式会社 環境対策推進室長 千葉慎一郎氏
Reivalue株式会社 代表取締役 堀口公希氏
長瀬産業株式会社 未来共創室開発三課 課統括 深見雅彦
(ヨネックス株式会社 環境対策推進室長 千葉慎一郎氏(中)、Reivalue株式会社 代表取締役 堀口公希氏(左)、長瀬産業株式会社 未来共創室開発三課 課統括 深見雅彦(右) 筆者撮影)
環境配慮型への転換でいつまでもスポーツを楽しめる社会を守る
(ヨネックス東京ショールームで行われたインタビューの様子。筆者撮影)
ーー「ヨネックス環境ビジョン2050」には、どのような思いがあるのでしょうか?
千葉 近年、テニスなどの屋外で行うスポーツだけでなく、バドミントンといった屋内スポーツにおいても高温の中でいかにスポーツができる環境を守るかという課題に直面しています。例えば、バドミントンの羽は軽く、風の影響を受けやすいことから、以前は体育館の扉や窓を閉め切って練習していましたが、今はそういうわけにはいきません。また、学生の部活動においても、気温が一定以上になる場合には活動を禁止するという規則を設けている学校もあります。これらはスポーツをめぐる環境変化の一例であり、気温上昇への対応は、多くのスポーツにとって喫緊の課題となっています。
こうした状況を受けて、ヨネックスは、「ブルーの空とグリーンの大地、そしてスポーツの未来のために」というメッセージを込めた「ヨネックス環境ビジョン2050」を設定しました。これは、「将来世代がいつまでもスポーツを楽しめる社会を守るため、私たちのものづくり、事業活動そのものを環境配慮型へ転換していく」という決意を示したもので、「脱炭素」「廃棄物」「エコ設計」の3つを取り組みの柱としています。「脱炭素」に関しては、2050年にサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目指し、2030年にスコープ1・スコープ2のGHG排出量50%削減(2016年度比)と自社拠点の100%再エネ化という中期目標を定めています。
“リアルな”再エネの調達を重視
(ヨネックス東京工場。提供:ヨネックス)
ーー脱炭素に関して、これまでのお取り組みを教えてください。
千葉 東京工場をはじめ、国内・海外の製造拠点にPPA方式によって太陽光発電を導入し、再生可能エネルギーの利用拡大を進めています。非化石証書などの環境価値の制度や市場の動きに影響を受けないように、リアルな再エネ調達に力を入れています。自社でコントロールできる再エネ調達を強化することで、エネルギーの調達コストを安定化することにつながり、事業へのインパクトを抑制することができると考えています。また電力会社から購入する通常の電力に対しては、非化石証書によって温室効果ガス(GHG)排出量の削減を図っています。
こうした取り組みを通じて、国・地域ごとに再エネ調達の手段の整備状況が異なるため、最適な方法を選ぶことが難しいという課題が見えてきました。また、ライフサイクル全体でのGHG排出量の見える化にも取り組んでいますが、削減対策を検討するにはGHG排出量に関するより精緻な情報基盤が必要であると感じています。
Reivalue×長瀬産業によるエネルギーソリューションの提供
ーーヨネックスさまと長瀬産業とのこれまでの経緯をお伺いします。
深見 ヨネックスさまとは、様々なお取り引きをさせていただいており、これまでにGHG排出量の見える化サービスをご提案し、採用いただいた経緯があります。「ヨネックス環境ビジョン2050」の実現に向け、私の所属する未来共創室では、見える化の次のステップである電力使用によるGHG削減策について、当社の資本業務提携先であるReivalue(リアイバリュー)によるソリューションをご提案させていただいております。当社とリアイバリューは2024年から、オフサイトPPAによる再エネ電力の導入、電力コストの削減、非化石証書と電力の一括調達といったご支援をさせていただいています。
(ヨネックスと長瀬産業のパートナーシップについて語る深見(右)。筆者撮影)
ーーヨネックスさまと長瀬産業とのこれまでの経緯をお伺いします。
深見 ヨネックスさまとは、様々なお取り引きをさせていただいており、これまでにGHG排出量の見える化サービスをご提案し、採用いただいた経緯があります。「ヨネックス環境ビジョン2050」の実現に向け、私の所属する未来共創室では、見える化の次のステップである電力使用によるGHG削減策について、当社の資本業務提携先であるReivalue(リアイバリュー)によるソリューションをご提案させていただいております。当社とリアイバリューは2024年から、オフサイトPPAによる再エネ電力の導入、電力コストの削減、非化石証書と電力の一括調達といったご支援をさせていただいています。
(ヨネックスと長瀬産業のパートナーシップについて語る深見(右)。筆者撮影)
中東情勢を受けて電力プランのご提案を迅速に見直し
(電力の提案について説明するリアイバリュー堀口氏(左)。筆者撮影)
ーー長瀬産業とリアイバリューによるこれまでの電力のご提案について教えてください。
千葉 長瀬産業とリアイバリューから電力に関するご提案を最初にいただいたのは、2022年の世界情勢の不安定化に伴い燃料価格が高騰した後でした。そうした背景から、電力価格を100%市場連動とするのではなく、固定価格と変動価格のハイブリッドでご提案いただけないかと相談しました。非化石証書との一括調達と併せてハイブリッド価格のご提案をいただき、おかげさまで、GHG排出量とコストの両方を削減することができました。
継続的な電力調達のあり方を見直すにあたり、当初は市場連動プランも選択肢の一つとして検討していました。しかし、社内調整を進める中で、中東情勢の不安定化を踏まえ、プランを見直すことになりました。結果、方針を切り替えてプランを再検討することになりましたが、限られた時間の中でも、Reivalueさまに迅速に代替案をご提示いただき、大変心強く感じました。
堀口 今年2月の中東情勢の不安定化を受けて、外部環境の変化を踏まえ、ヨネックスさまでは市場連動プランに伴うコスト変動リスクを慎重に見ておられました。そうしたご懸念を払拭するため、当社は再生可能エネルギーの調達を含めた「完全固定プラン」へご提案を即座に切り替えました。
完全固定プランでは、燃料費や為替の影響を受けにくい設計とすることで、一定期間にわたり電力コストの見通しを立てやすくしました。世界情勢が不安定化して、燃料価格が乱高下する場合でも、電力コストの見通しを立てやすくすることを重視したからです。
他にも、ヨネックス東京工場さまにおけるオフサイトPPAのご使用量をご希望の割合に引き上げるなど、GHG削減のご要望にお答えできるように、スピード感を持ったご提案を心がけました。
こうした対応を通じて、ヨネックスさまのニーズに沿った形で取り組みを進めることができました。今回は、世界情勢の不安定化を受けてご提案をカスタマイズしましたが、お客さまのご懸念やニーズに対して最大限のご提案をする大切さに改めて向き合うことができました。当社としても、変化の大きい事業環境の中でお客さまにどう向き合うべきか、多くの示唆を得る機会となりました。
ーーヨネックスさまのように、世界情勢に伴い、電気料金の市場連動プランを見直すニーズが高まっているそうですね。
堀口 市場連動プランの場合、料金単価は電力卸市場の価格に左右されます。卸市場の価格は電力エリアによって異なり、東京電力エリアは市場価格が比較的高いエリアの1つです。そのため、市場価格が高いエリアでは、市場連動プランの価格高騰リスクを避けるため、プランの見直しを検討するお客さまが増えてくるのではないかと考えています。
今回、再生可能エネルギーの調達を含む「完全固定プラン」が選択肢として評価された背景には、こうした市場動向を踏まえて、電力価格にキャップ、つまり上限を設定した点もご評価いただけたのではないかと思っています。
当社は今年2月、小売電気事業者の登録(登録番号:A0984)を完了し、高圧・特別高圧のお客さまへの電力供給を、沖縄電力エリアを除く全国9エリアで今年6月に開始いたしました。小売電気事業者として、外部環境の変化が激しさを増す中で、お客さまの多様なニーズにより柔軟かつ迅速にお応えする体制を整え、ご提案をさらに強化していきたいと考えています。
千葉 現在、さまざまな価格の先行きが極めて不透明な中、事業運営に不可欠な電力コストの見通しが立てやすくなったことは、大きな意義があったと感じています。
時代の変化を見極めた価値ある提案で事業に貢献
(東京都港区新橋にあるヨネックス東京ショールーム。筆者撮影)
ーーヨネックスさまの環境ビジョン2050達成に向けて、どのようなご提案をしていきたいか、展望をお聞かせください。
深見 カーボンニュートラルの実現を目指すにあたっては、これからますます多様なお取り組みが必要になっていくと考えており、ヨネックスさまの事業がサステナブルに続いていくように、国内・海外のNAGASEグループを挙げて、ヨネックスさまのお役に立てるご提案を続けていきたいと考えています。
冒頭で、千葉さまが「環境価値の制度や市場の状況に影響を受けないように、PPAなどを通じたリアルな再エネ調達を大切にしている」とお話になっていましたが、まさにその部分もぜひご一緒に取り組みをさせていただきたいと考えています。NAGASEグループは、「ものづくりの課題を素材(マテリアル)を通じて解決する」企業として、エネルギーをはじめ、材料関連など、全社一丸となってヨネックスさまの事業の発展に貢献していきたいと思います。
堀口 現在、電気料金やGHG排出量に関しては、世界の動向によって大きく左右される状況だととらえています。これまでの傾向や常識がこの先も通用するかどうかは誰にもわかりません。そうした中でしっかりお客さまのニーズに合ったご提案ができるよう、当社は引き続きアンテナを高く張り、信頼できる情報の収集に努めていきます。
例えば、足元ではGHGプロトコルの改定が進められていますが、今後、お客さまのGHG削減の目標設定や取り組み方針にも影響を与えると思っています。中には、現在の目標を見直すお客さまも現れるかもしれません。どの選択肢を取られるかによって、GHG削減や電力契約に関するコストもさまざまです。当社は、電力コストとGHG排出量の両方をしっかりと削減できるご提案を意識して、どのような選択肢がお客さまにとって最善なのかをディスカッションさせていただきながら、お客さまの目標達成に貢献していきたいと思っています。本日はありがとうございました。
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