case study

株式会社ダイセル様の導入事例~解析未経験でも1週間で習得。スケールアップを効率化~

セルロース、有機合成、合成樹脂、火工品をコア技術にした各種化学製品の製造販売を手掛けるダイセル様に、長瀬産業が自社開発した混合・ 撹拌工程に特化した流体解析ソフト「ミキシングコンシェルジュ™」をご使用いただいています。どんな課題を抱えていて、どのように流体解析ソフト活用することができたのか、ダイセル研究開発本部の伊藤様にお話を伺いました。

Oct 30  2026

株式会社ダイセル 伊藤様
Topics:
  • ケーススタディ
  • 印刷・包装材
  • サステナビリティ

受け手(画像右側):

株式会社ダイセル

博士(科学技術イノベーション) 
研究開発本部 事業創出センター 主席研究員
伊藤 大祐 氏

大学院卒業後、2011年入社。

トヨタ自動車株式会社への出向や神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科での博士号取得を経て、現在は研究開発部門で新しい樹脂材料の開発を担当。

 

インタビュアー(画像左側):

長瀬産業株式会社
機能化学品事業部 機能色材部 大阪営業1課
四辻明大

大学卒業後、2021年に入社。インキ、塗料業界への原料販売や、攪拌・分散工程の課題解決を行う。

*記事の内容は2026年8月時点の情報です。

初めに伊藤さんの研究内容について教えてください。

AMAZING COFFEE 片山様 取材時の様子

株式会社ダイセル 伊藤様

研究開発部門で新しい樹脂材料の開発をしています。主な対象は配線板向けの樹脂材料です。

近年、AIサーバーやデータセンター向け用途では高周波信号への対応が求められており、低誘電特性を持つ材料開発が重要になっています。

実際の開発現場では、液体と固形分を混合したスラリーを扱うことが多く、撹拌条件によって反応や最終製品の品質が大きく変わります。そのため、適切な混合・分散条件の検討は重要なテーマとなっています。

ミキシングコンシェルジュ™の導入前に抱えていた課題はどんなものでしたか?

ラボスケールでは良好な分散状態が得られていても、実機へスケールアップした際に同じ状態を再現できるか不安がありました。実機試験にはコストや時間がかかるため、試行錯誤を繰り返すことは容易ではありません。できるだけ短期間でスケールアップを進めたい一方で、失敗リスクも抑えたいという課題がありました。

そのような中で、シミュレーションを用いて大規模設備での挙動を事前に検証できる点に魅力を感じ、ミキシングコンシェルジュ™の導入を決めました。

*ミキシングコンシェルジュ™を導入いただいた際のダイセル様のプレスリリースはこちらからご覧ください。

ダイセルさんは社内に解析部門があると思いますが、それでも解析に関わるお困りごとがあったのすか?

以前から社内の解析部門へ依頼した経験はありました。依頼時には納期や解析内容について十分な説明があり、基本的には納得した上で利用していました。

しかし、解析結果を確認した後に追加検討や再解析が必要になると、どうしても全体の検討期間が長くなる傾向がありました。

自ら解析できるメリットはどんな点でしょうか?

  最も大きなメリットは、自分自身で納得いくまで検討を繰り返せることです。解析条件の細かな変更を気兼ねなく試すことができ、途中で考え方を変更した場合でもすぐに再計算できます。外部への依頼を挟まないため、試行錯誤の自由度が大きく向上しました。

また、自ら条件設定を行うことで、解析結果に対する理解や納得感も高まったと感じています。

シミュレーション結果については社内解析部門から助言を受けており、長瀬産業のエンジニアとも継続的に議論しながら進めています。

解析部門からはどんな声が挙がっていますか?

CAEを利用して課題を解決する感性が社内に広まっていくことで、会社全体の技術の底上げに繋がる良いツールだという意見が出ています。撹拌をきっかけに、様々な単位操作への展開を考えられるようになるのであれば、ミキシングコンシェルジュ™が解決する領域以上の効果が見込まれると思います。

※CAE(Computer Aided Engineering)とは、製品や製造工程の設計・開発において、コンピュータ上 で構造体や流体の挙動をシミュレーションし、事前に検証・最適化するための技術です。

習得までにかかった期間はどれくらいでしょうか?

私は解析ソフトを使用した経験がありませんでしたが、基本的な操作の習得には約1週間程度でした。

最初は小規模モデルから検討を始めたため計算時間も短く、多くの条件を試すことができました。一方で、スケールが大きくなると計算時間は半日程度かかるケースもあり、夕方に計算を開始して翌朝結果を確認するという運用を行っています。

長瀬産業のエンジニアがミキシングコンシェルジュ™を使いこなせるようにしっかり伴走支援してくれるのはとても助かっています。

 

流れ計算、濃度拡散、トレーサー追跡、伝熱の4つの機能がありますが、主にどの機能を活用していますか?

まず流れ解析を実施し、その後にトレーサー追跡を活用しています。流れ場の中で粒子がどのように移動するのかを確認し、ラボで観察された粒子挙動が実機でも再現されるかを評価しています。

また、ミキシングコンシェルジュ™に搭載されている複数の撹拌翼を比較し、有望な候補を選定するためにシミュレーションを活用しています。

実際の回転数やトルクは設備側の制約もあるため、最終的には実機試験と組み合わせながら最適化を進めています。

 

逆に、導入後のデメリットはありますか?

大きなデメリットは感じていません。

ただし、シミュレーション結果を過信することは危険だと考えています。実験結果とシミュレーション結果が完全には一致しないケースもあり、その原因分析に時間を要したこともありました。

シミュレーションはあくまでも重要な判断材料の一つであり、実験や経験と組み合わせながら多角的に検討することが重要だと考えています。

どのような人におすすめしたいですか?

研究開発部門において、小スケールから大スケールへの移行を担当する技術者には特に有効です。

製造現場においても撹拌翼の変更やプロセス改善の検討ツールとして活用できると思います。

最後に、今後について教えてください.

今後はグループ内の情報交換会などを活用し、具体的な活用事例を社内共有していきたいと考えています。その際には研究開発部門だけでなく、プロセス技術担当者への展開も重要です。スケールアップだけでなく、エマルジョン製造などの分散プロセス検討にも活用できると考えています。

また、ラボ段階から最適な撹拌条件や撹拌翼を選定する用途にも適しており、開発初期段階での活用余地も大きいと感じています。

最後に、今回の取材にご協力いただいた株式会社ダイセル伊藤様、関係者の皆様に感謝申し上げます。本インタビューを通じて流体解析ソフト「ミキシングコンシェルジュ™」にご興味を持っていただけた方からのお問い合わせをお待ちしております。

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